アニメーション用のタブレットには、あらゆる機能を備えたさまざまな種類があります。
以下では、アニメーションタブレットの選び方やおすすめをご紹介します。
アニメーションはアートであり、タブレットはキャンバスです。世界では急速にデジタル化が進んでいます。そのため、ここ数年でアニメーションと描画は「紙とペン」から「タブレットとスタイラス」に移行してきました。コンテンツクリエイターにとって、ビデオやアニメーションは、最も魅力的なコンテンツ形式の1つです。動きは視聴者を惹きつけるため、コンテンツ戦略に組み込むことが重要となります。アニメーション専用のタブレットへの投資は、写真編集機能などの芸術的および創造的なプロセスを強化する貴重な資産となります。これは、プロのアニメーター、デジタルアーティスト、またこれからアニメーションの世界に足を踏み入れる初心者など、誰にとっても同じです。
プロでも初心者でも、スムーズな描画体験を確保するという観点から、アニメーション専用のタブレットに投資する価値があるのではないでしょうか。通常、アニメーションタブレットには、描画するための画面と、付属のスタイラスが備わっています。これらは、プロのアーティストだけでなく、趣味で作品を作成する人にも使用されています。
市場には、価格帯や用途などによって異なる、あらゆる種類のアニメーション用タブレットがあります。そのため、個人のニーズに合ったタブレットを持つことが重要です。適切なタブレットは、高品質のコンテンツを作成するための秘密兵器となるのです。
そこで本記事では、価格や機能などで、各タブレットを分類しました。さて、ここからが本題です。市場で最高のアニメーションタブレットはどれなのでしょうか。
目次
グラフィックタブレットとディスプレイタブレット
ニーズに合ったアニメーションタブレットを探す前に、グラフィックタブレットとディスプレイタブレットの違いを理解する必要があります。これら2つはは、現在タブレット市場で最も一般的なタイプです。
グラフィックタブレット
コンピュータ入力デバイスであり、多くの場合、非表示タブレットです。つまり、表示画面がありません。グラフィックタブレットは、アーティストがスタイラスで描画できる描画面を備えています。画像は通常、内蔵ディスプレイではなくコンピューターのモニターで表示され、PCまたはラップトップに簡単に接続できます。
ディスプレイタブレット
名前が示すように、目立つディスプレイが特徴です。作品を外部画面で表示するのではなく、デバイス上で直接確認できます。そのため、画面付きタブレットは単独で使用できます。
アニメーション タブレットの選び方
特定のニーズに合わせてアニメーションタブレットを選択する際、考慮すべき点がいくつかあります。以下の複数の質問に答えてみてください。アニメーションタブレットに対する個人的な優先順位がわかるかもしれません。
予算はいくらか？
アニメーションタブレットの価格帯を決めましょう。予算によって、最終的に選ぶブランドや、追加機能などが決まります。アニメーションタブレットの価格は約6000円から約40万円です。手頃な価格は人によって異なるため、購入する前に予算を確認してください。
バッテリーの寿命は？
また、フル充電でバッテリーが何時間持続するかを把握することも重要です。アニメーションタブレットを1日中持ち歩く学生でも、自宅でアニメーションを楽しむ趣味の人でも、アニメーションタブレットに必要なバッテリー寿命を確認しておくと良いでしょう。
どのタイプのタブレットペン、またはスタイラスが好み？
アニメーションテーブルやスタイラスペンは、タブレット本体と同じくらい重要です。ペンやスタイラスは、美しい描画やアニメーションを作成するための魔法の杖のようなもの。充電可能なバッテリー不要のペンや、カスタマイズ可能なボタンや機能を備えたペンなど、多くのスタイラスペンが販売されています。どういったタイプが好みなのか考えてみましょう。
筆圧感度はどれくらいが好み？
2Dアニメーションソフトウェアガイドによると、「筆圧感度とは、デジタルペンの先端が検出できる個別のポイントの数」です。簡単にいえば、スタイラスペンやタブレットペンの筆圧感度が高いほど、描画する線の幅を変更する能力が高まり、よりスムーズな描画体験が可能になります。ペンの筆圧感度のレベルは個人の好みによって異なりますが、タブレットの選択に影響を与える要素となり得ます。
画面サイズは？
画面サイズは基本的にタブレットの大きさで決まります。アニメーションタブレットにはさまざまなサイズがあり、ほとんどは10〜32インチです。タブレットのサイズによって、デバイスの持ち運びやすさと、どれだけの表示スペースを確保できるかが決まります。
ラミネートスクリーン希望？
ラミネート加工されたスクリーンは薄くて軽く、通常、ラミネート加工されていないスクリーンよりも目に優しいです。ラミネート加工は、最新のiPadや高品質アニメーションタブレットで使用されています。一般的に、ラミネート加工がされていないものよりも高価になります。
表示サイズはどのくらい必要か？
表示サイズは、アニメーターにとって重要な事項です。ディスプレイは、タブレット上で描画やアニメーションを行うためのスペースです。前述した通り、アニメーションタブレットには表示形式と非表示形式があります。
画面解像度は？
画面解像度は、画面がピクセルをどの程度詳細に表示できるかに影響します。小型で安価なアニメーションタブレットの画面解像度は通常 1280×800ですが、ほとんどのHDディスプレイは 1080p画面 (1920×1080 以上) を備えています。タブレットのトップブランドである Appleは、HDディスプレイから大きく進歩した液晶Retinaディスプレイを備えています。
色の表示方法が好みか？
色域は、アニメーションタブレットを探す際の重要な要素です。 ViewSonicによると、色域は、「人間の目で識別できる色のスペクトル内の色の範囲」を表します。色は、アニメーションタブレットごとにさまざまな方法で表示されます。あなたは、鮮やかな赤緑と深みのある黒のどちらを重視しますか？この質問について考えることで、完璧なアニメーションタブレットを見つける第一歩となります。
2023年、ベストアニメーションタブレット レビュー
Wacom Cintiq Pro 32
Wacom Cintiq Pro 32 (source: Wacom)
まず最初は、Wacom Cintiq Pro 32 です。このグラフィックタブレットは、最高級のアニメーションおよび描画製品として知られており、業界やアーティストコミュニティの多くの人から高く評価されています。Cintiq Pro 32 は、現在市場に出ているアニメーター向けの最高のグラフィックタブレットの1つと言えるでしょう。
32インチ画面を備えており、高品質で、大きなキャンバスを求めているアーティストに最適です。画面解像度は4K、筆圧感度は8,192レベルです。Cintiq Pro 32は、HDMI、USB 3.0、USB-C、DisplayPort経由での接続も可能で、After Effectsなどのアニメーションソフトウェアとの互換性も備えています。色域も信じられないほど正確なため、高品質で美しい作品を作成できます。 Cintiq Pro 32 の ExpressKey Remote には、17 個の *プログラム可能なボタン* があり、独自の生産性設定とフローに合わせてカスタマイズ可能です。プロ仕様のデバイスであり、価格もそれを反映しています。新品の Cintiq Pro 32 の価格は約46万円です。
Huion KAMVAS GT-156HD V2
Huion KAMVAS GT-156HD V2 (source: Huion, Amazon)
Huionは、アーティストがデジタルで簡単に作品制作できる、ワコムに代わる素晴らしい製品です。 Huion KAMVASタブレットは、デジタルアニメーション市場でアニメーターに最も強く推奨されるタブレットの1つです。デバイスの厚さは約7.5cm、幅は約30cm、長さ約60cmで、重さは約4キロです。小型のポータブルタブレットではありません。解像度1920 ×1080 のフルHD画面と、少数のカスタマイズ可能なエクスプレス キー、方向パッド、タッチパッドを備えています。
また、Huion KAMVASの利点は、バッテリー不要のペン。スタイラスはほとんどのタブレットペンよりも少し重いですが、1回の充電で、毎日使用しても1ヵ月以上充電が持つと宣伝されています。筆圧感度と傾き認識は最高レベルであり、スムーズな操作性を保証されています。KAMVASにはスタンドも付属しており、デバイスは最大50° まで傾けることができるのです。価格はやや高めですが、多くのユーザーは価格に見合う価値のある高品質の製品として賞賛しています。
Apple iPad Pro
iPad Pro (Source: Daniel Romero)
次に、Apple iPad Proです。ご存知の通り、市場でよく知られたデバイスであり、確立されたブランドです。iPad Proは2020 年にリリースされ、液晶RetinaディスプレイとApple A12X Bionicチップを搭載し、比類のない処理パフォーマンスと完璧なUXを提供しています。ストレージサイズには、64GBから1TB まで3つのオプションがあります。非常に多用途なデバイスであり、多くのプロアニメーターがアニメーション作業のメインタブレットとして使用しています。
Apple Pencil 2 は iPad Pro の購入には付属していませんが (約1万7千円の追加料金がかかります)、洗練された作品を作成することができる、互換性が高く信頼性の高いスタイラスです。バランスのとれた筆圧感度レベルと傾き感度を備えており、市場で最高のスタイラスの1つとして知られています。
Appleは、洗練されたUXを実現するショートカットボタンも搭載しています。唯一考えられる欠点は、iPad Pro のソフトウェア制限ではないでしょうか。プロのアニメーターやアーティストが使用する多くの人気アプリケーションは、まだ iPadプラットフォームでは利用できません。一方でAndroid 描画タブレットでは利用できます。
Samsung Galaxy Tab S7 Plus
Samsung Galaxy Tab S7 Plus (Source: Samsung)
サムスンはハイテク大手企業として世界的に知られており、その製品は最高級品です。もちろん、タブレットも例外ではありません。Samsung Galaxy Tab S7 Plusは、デジタルアニメーション用のAndroidタブレットとして広く知られており、アニメーションにはもってこいの製品ではないでしょうか。12.4インチの画面を備えています。解像度2800 × 1752ピクセルのディスプレイは、描画やアニメーション化に最適です。
Samsung Galaxyは、アニメーションやアートワーク用のスペース、色域が広いです。さらに、新しいSペンは Apple Pencil に匹敵する9ミリ秒の遅延を特徴としており、タブレットの購入に付属しています。円筒形で滑らかなマット仕上げのSペンは、最高の筆圧感度を備えています。タブレットの背面に磁気で取り付けて、充電可能です。
さらに、Samsung Galaxy Tab S7+ は、コンパクトで持ち運び用のタブレットとしても最適です。Parka Blogsによると、このSamsung Galaxyモデルは、Apple iPad Proの、より安価な競合製品であり、全体として「Tab S7 は見た目も良く、ビルド品質もしっかりしている」とのことです。
XP-Pen Artist pro
Artist 15.6 Pro (Source: XP-PEN)
XP-Penは、プロから愛好家まで幅広く使用されているタブレットの老舗ブランドです。 XP-Pen Artist Pro 15.6インチは、「献身的で情熱的なアーティストやデザイナーなど、画面上に描画したい人のために作られたハイエンドの描画タブレット」（PixelSmith Studios）と言われています。
鮮やかな色とガラストップを採用した薄型のコンパクトデザインで、非タッチディスプレイでありながら好きな角度に回転できるスタンドも付属しています。このアートタブレットは、人間工学に基づいた優れたデザインを提供しています。さらに、Artist 24 Proには、プロ仕様の8,192 レベルの筆圧感度と傾き感度を備えたバッテリー不要のスタイラスが付属しています。
XP-Penでは、カスタマイズ可能なショートカットキーやボタンを使用して、生産的に詳細なスケッチを作成することができます。 高品質のマンガアートワークを作成できる Artist Pro の機能は、アーティストからも高く評価されています。日常使用に最適化されており、プロのデジタルアーティストにとって、予算に優しい優れた選択肢と言えるでしょう。
Wacom Intuos Pro
Wacom Intuos Pro (Source: Wacom)
Wacom Intuos Proは、バッテリー不要のスタイラスペンを備えています。先程のWacom Cintiq Pro 32に続き、高品質でプロフェッショナルグレードの製品の一例です。サイズは、アニメーターやアーティストのデスクにぴったり収まる中型です。市場で最高のアニメーション用タブレットの1つであり、プロから強く推奨されている製品。
Wacom Intuos Pro は、画面を備えていない描画デバイスであるため、ユーザーは純粋な描画タブレットの触感に集中できます。同口径のディスプレイ タブレットよりも軽く、コンパクトなデザインで、持ち運びやすいデバイスとなっています。 8,192 レベルの筆圧感度を備えており、市場で最高のスタイラスの1つに含まれます。タブレットペンには自然な傾き感度認識機能もあり、バッテリーは不要です。
Wacom Cintiq Pro 32 と同様に、プログラム可能なエクスプレス キーやその他のカスタマイズ可能な機能も搭載。プロのアニメーター、アーティスト、クリエイティブの誰にとっても、Wacom Intuos Pro はあらゆる創作ニーズに応える魅力的なオプションではないでしょうか。
Artisul D13
ARTISUL D13S 13.3 INCH PEN DISPLAY (Source: ARTISUL)
Artisul D13 は、15.3インチの持ち運び可能でありながら強力なデバイスです。重さは約4.5キロ、厚さは約1.3cm。USB電源のデバイスであり、PC、ラップトップ、またはデスクトップへのケーブル接続が必要ですが、USBは電力伝送とデータ伝送の両方に役立つため、複雑な配線セットアップを回避できます。
D13は7つのエクスプレスホットキーと、ほとんどの最新のタブレットに最適なタイプのバッテリー不要のスタイラスを備えています。 オプションのペンホルダーキャリングケースもコンパクトなデザインです。また、目に優しい明るさの1080p HDディスプレイも備えています。
市販されている他のタブレットと異なり、Artisul D13 にはオプションの左手モードがあり、左利きのアニメーターやアーティストも使いやすい仕様です。D13 を使用すると、Cintiqデバイスよりも低価格で素晴らしい手描きアニメーションを作成可能です。
Parblo Coast10
Parblo Coast10 (Source: Parblo)
Parblo Coast10 は、初心者レベルの人気ブランドが提供するペンタブレット。Coast10 は 14インチ、厚さ約7.6cm、重さは約1.3キロで、持ち運びや旅行に最適な小型のデバイスです。 USBから給電され、任意のコンピュータまたはラップトップに接続可能です。画面解像度は1280 × 800 で、ディスプレイサイズは生産的なアニメーション ワークスペースとして十分な大きさです。
さらに、Parblo ペンはバッテリー不要で、小さな右クリックボタンが付いているため、マウスの必要性が軽減されます。 ペン用の内蔵収納スペースもあります。筆圧感度も申し分ありません。描画は遅延なくきれいに出力されます。Coast10は、初心者から中級者までのアーティストに最適なタブレットです。お手頃な価格のタブレットにも関わらず、プロ仕様のアニメーションデバイスのすべての機能を低価格で提供しています。
Monoprice 22″ 1080p Display
Monoprice 22″ 1080p Display (Source: Monoprice, Amazon)
Monoprice は、22インチで、広い描画スペースを必要とするアニメーターに素晴らしい製品です。画面が大きくなると、アニメーターやアーティストはより多用途で細部を重視できます。厚さ約5cm、重量約2.7キロのディスプレイタブレットです。 Monoprice 22インチは、そのサイズのおかげで、デスクトップモニターとの併用も可能です。必要に応じて、セカンダリモニターとしても使用できるのです。高い色域とコントラストを備え、快適で正確な表示を実現しています。
また、ディスプレイは 1080p HD解像度の強力な機能を備えており、内蔵のタブレットスタンドを使用すると、80° まで完全に平らに描画できるため、卓上での作業に便利です。 付属のスタイラスは電池不要で軽く、筆圧感度も簡単にカスタマイズ可能。さらに、ペンホルダーも付いています。ソフトウェアと構成は理解するのが少し難しいかもしれませんが、Monoprice 22 インチは、価価格でプレミアムな大型タブレットです。
まとめ
あらゆるタイプのユーザー向けに、スムーズな描画体験を保証してくれる、驚くほど高品質のタブレットが市場には豊富に存在します。アニメーションやアートのコミュニティに初めて参加する人でも、熟練したプロでも、ぴったりのタブレットは見つかります。
業界が進化するにつれて、機器やデバイスの多様性も増大するため、本記事で紹介したタブレッドの説明や概要以外にも、考慮すべき機能はまだまだあります。アニメーションタブレットについてさらに詳しく調べるには、Wacom や Huion などの前述のブランドを見てみると良いでしょう。アニメーションとデジタルアート用品について詳しくは、2D アニメーション ソフトウェア ガイドと Concept Art Empire をご覧ください。
本記事では、デジタルアートのプロセスにおけるハードウェアの重要性を強調しましたが、ソフトウェアも重要な考慮事項です。アニメーターにとって、使いやすいソフトウェアアプリケーションを見つけることは難しいかもしれません。アニメーションプロセスを効率化し、美しい芸術作品を作成するには、Animation Desk などのアプリをチェックすることをお勧めします。 App Store または Google Play ストアから今すぐダウンロードしてみてください。