ストーリーボードという言葉を耳にしたことはありますでしょうか。あまり馴染みのない方も多いと思いますが、ストーリーボードとは、アニメーションやマーケティングにおいて重要な役割を担っています。この記事では、絵コンテとの違いやアニメーションにおけるストーリーボードの役割や機能、作り方に加えて、実際に使えるおすすめのソフトのご紹介をしていきたいと思います。
ストーリーボードとは?
ストーリーボードとは、一言でいうと「作品の完成予想図」のことを指します。映像作品の制作に取り掛かる前に、作品の物語性や全体像の構想を練ったり、必要なカットを確認をしたりする為に作成されます。海外映像制作の現場・ハリウッド映画を作る際にも必ず利用されており、ピクサーなどでも多く活用されています。基本的には、脚本を元にイラストをつけて視覚化することでストーリーボードが作成されていきます。
ここまで聞くと、ストーリーボードって要は絵コンテのこと?と思う方もいると思いますが、厳密にはストーリーボードと絵コンテは同じものではありません。以下で、ストーリーボードと絵コンテの違いについて説明していきます。
⭐ 合わせて読みたい 【パソコンでアニメーション制作!】アニメーションの作り方を解説:詳しくはこちらをご確認ください!
ストーリーボードと絵コンテの違いとは?
日本では、ストーリーボードよりも絵コンテの方が耳にする機会が多いのではないでしょうか。ストーリーボードと絵コンテはほとんど同じですが、厳密には違いがあります。
絵コンテは、監督や演出家が実際の映像の画面やカット割り・台詞や演技・状況指示などを、1カットずつ描き込んだもののことを指します。皆さんも目にしたことがあるかもしれませんが、いわゆる4コマ漫画のようなものです。絵コンテでは、動画全体の構成やグラフィックで何を見せるかなどを確認していきます。
それに対しストーリーボードは、台詞やカット割りに加え、カメラワークや照明など、より専門的、且つ詳細なものでなければなりません。前後する映像で違和感がない自然な繋ぎ方や、製作者の想いを効果的に伝えるカメラワーク、視線誘導、アングルなど、すべての情報を細かく設計していきます。
このように絵コンテとは違い詳細を作り込んでいくストーリーボードですが、細かい部分まで設計する分、時間がかかってしまうのではないか?と思う方もいるのではないでしょうか。では、わざわざ時間を費やしてまでストーリーボードを作ることのメリットは一体何なのでしょうか。
ストーリーボードを作ることのメリットとは?
ストーリーボード作るメリットは、大きく分けて3つあります。
チーム内での作成イメージがより明確になる
上記の通り、ストーリーボードでは作品が完成するまでに必要なものや演出などを細かく記載し、可視化していきます。その為、ストーリーボードを作成することで、チーム全員が作成までの流れを具体的に、且つ視覚的にイメージすることが出来るのです。よって、メンバー間での認識齟齬が生じるリスクが低くなり、全員がより明確に完成予想図をイメージできるようになります。
無駄のない作成が行えることで、コストカットに繋がる
1つ目のメリットとして、物語性や完成予想図をより明確にイメージすることができる、と記載しました。2つ目のメリットは、これにより、無駄のない作品づくりやコストカットが可能になることです。イメージが明確なことで、作品に本当に必要なカット、逆に余計で物語を冗長しているようなカットはないか?ということを事前に確認し、没カットを削減することが出来るようになります。最終的に、時間やお金を含め、完成までにできる限り必要最低限なリソースで辿り着くことが可能になるのです。
ユーザーの視点にフォーカスすることが出来る
ストーリーボードは、アイディアの疑似体験を可能にするツールです。ストーリーボードに書かれた物語性に実際に見たユーザーが共感できるか・どのポイントで感動するのか、などユーザーの視点に立って作品を体験することが出来ます。この時点で作品を一次評価してブラッシュアップをしておくことで、ユーザーにとって魅力的な作品をつくることが出来ます。
ストーリーボードの作り方とは?
ここまで、ストーリーボードがどのようなものなのか、絵コンテとの違いや作成するメリットは何なのかについて説明してきました。では、ストーリーボードを作る場合、どのように進めていけば良いのでしょうか。ポイントを2つ紹介したいと思います。
「6W1H」を意識して動画構成を考える
まずは、動画の構成を考える必要があります。この際、動画の目的やターゲット・伝えたいことを具体的にしておくことがポイントとなります。具体的にするために、6W1Hを意識すると良いでしょう。
-
- WHAT(何を)…紹介する作品は何なのか(商品やサービス)を決めます。
- WHY(なぜ)…その作品をどんな目的でつくるのかを明確にします。
- WHO(誰が)…作品が誰からのメッセージなのかを明確にします。
- WHERE(どこで)…視聴者が動画を見る場所や媒体を決めます。
- WHEN(いつ)…視聴者に作品を見てほしいシチュエーションやタイミングを決めます。
- WHOM(誰に)…誰に見てもらうか、ターゲットを明確にします。
構成の段階で具体的にしておくことで、その先をスムーズに進めることができます。
アニメの尺と大まかな流れの決定
動画の構成を決めたら、次は動画の尺や大まかな流れを決めていきます。どのカットに何分使うのか・起承転結はどうするのか、などを決めていくことで、作品の物語性を具体的にしていきます。
ストーリーボードを作るのにおすすめのアニメーションソフト3選
ストーリーボードの作り方がわかったところで、実際にアニメーション作成時に使えるおすすめのアニメーションソフトを3つご紹介したいと思います。ソフトごとに、それぞれ特徴や得意としている分野が違う為、自分に合ったソフトを見つけてみましょう。
ハイクオリティなアニメーション制作が実現できるアニメーションソフト「Animation Desk」
Animation Deskはデッサンやスケッチでアニメーションを制作する事が可能です。初心者だけでなくプロにも愛用されるアプリで、AndoroidやiOS、Windows 10などあらゆるデバイスで再編集が可能なのも特徴の1つとなっています。動画や写真を素材にしたアニメーション作成が可能で、初心者でも直感的に制作を行うことが出来ます。
Animation Deskには様々な機能がありますが、編集の際にインターフェイス上で描画ツールやブラシを切り替えられたり、描画エリアでの拡大/縮小の表示ができたりと、簡単に使えて便利が機能が多くあります。このような機能をうまく利用することで、より効率的に描画を行うことができるようになります。また、作業の効率化だけでなく、直線以外にも様々な形状がある多くの描画ツールを駆使することで、ハイクオリティなアニメーション制作を実現することが出来ます。
エフェクトの種類が豊富なアニメーションソフト
「After Effects」
After Effectsは、アドビが販売している映像のデジタル合成・タイトル制作・モーショングラフィックスなどを目的としたソフトです。動画編集や合成に向いており、エフェクトの種類も豊富です。また、2Dの映像加工だけでなく、3D空間も所持している為、3Dのモデリングデータや、カメラ・ライトなども空間内に配置することが可能です。
Macユーザー向けの動画編集ソフト
「Final Cut Pro」
Final Cut Pro(ファイナル カット プロ)は、macOSのみに対応している、Macユーザー向けの動画編集ソフトです。動画にタイトルやテロップ、サウンドなどを付けることが出来流ようになっています。初心者から上級者まで幅広く利用されており、最近では多くのYoutuberが使用しています。種類豊富なテキストエフェクトやアニメーション機能が揃っており、初心者でもテキストを打つだけでかっこいい動画を制作することが出来るのも特徴の1つです。
⭐ おすすめ記事 【Animation Desk ✕ クリエイター 】Twitterでの動画アニメ制作イベントを終えて:詳しくはこちらをご覧ください
ストーリーボード:まとめ
いかがでしたでしょうか。この記事では、ストーリーボードのメリットや実際の制作り方、そしておすすめのアニメーションソフトを紹介してきました。ストーリーボードをつくることで、より効率的、且つユーザーにとってより魅力的な作品づくりが実現できます。皆さんも、映像作品をつくる際には、ストーリーボードを上手に活用してみてください。