リーンスタートアップという言葉を耳にしたことがありますでしょうか。スタートアップ、という言葉は頻繁に聞くようになりましたが、リーンスタートアップという言葉は意外と知っている方が少ないかもしれません。本記事では、リーンスタートアップとは何なのか、リーンスタートアップの手順やメリット、そしてリーンスタートアップの事例などをご紹介します。
リーンスタートアップとは?
リーンスタートアップとは、無駄がないという意味のリーン(lean)と、起業という意味のスタートアップ(start up)を組み合わせて作られた言葉です。コストをかけずに、最低限の製品やサービス、機能を持った試作品を短期間でつくり、顧客に提供するビジネスの手法の1つです。試作品として作ったものを顧客に提供した後、顧客の反応を観察・分析し、市場価値を確認してから、サービスの撤退や改善、機能追加などを精査していきます。そして改善をして再度顧客の反応を確認する、といったサイクルを繰り返し、企業が成功する確率をあげていきます。
アメリカのシリコンバレーやなどでは、ベンチャー企業が多数存在し、その中からごくわずかの企業が大企業へと発展していきます。近年、日本でもベンチャー企業が増え、スタートアップという言葉は頻繁に聞くようになりました。リーンスタートアップとは、増えていく無数のベンチャー企業が発展する成功率を少しでも引き上げようと考案されたマネジメント論の1つなのです。アメリカの起業家であるエリック・リース氏が提唱したと言われており、ビジネスシーンで大きな話題となりました。
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リーンスタートアップの手順を解説
では、実際にリーンスタートアップはどのような流れで起業に至るのでしょうか。リーンスタートアップには、4つの手順があります。構築・計測・学習・再構築です。この4つのサイクルを短期間で繰り返すことで、起業の成功率を引き上げると言われています。1つ1つ見ていきましょう。
リーンスタートアップの手順1. 構築
まずは構築です。最初は、アイディアを元に想定された顧客がある新規サービスや製品を作成します。作成時には、顧客がこれらのサービスや製品を必要としている、という仮説を立ててアイディアを練っていきます。アイディアを練ったら、次はそのアイディアを元にした製品やサービスを、出来るだけコストをかけずに開発します。この構築時に最低限のコストで作成された製品やサービスのことを、MVP(Minimum viable product)と呼びます。MVPについては、更に詳しく後ほど説明していきます。
リーンスタートアップの手順2. 計測
構築が完了したら、続いては計測です。構築時に作成したMVPが市場でどのような反応をもらえるのか観察する期間となります。MVPは、アーリーアダプターと言われる、流行に敏感な層に情報収集を行ってから、次はそのサービスや製品を判断する人々に提供し、反応を観察します。あくまでも最低限のコストで作成してから一度提供し反応をみることで、改善や変更をしやすくなる為、構築の段階では作り込みすぎずに計測に入ることがポイントとなります。この計測では、顧客の声や、新たに開発しようとしているサービスや製品の、市場における需要などを確認することが出来ます。
リーンスタートアップの手順3. 学習
計測で顧客の反応を見たら、次は学習のフェーズに入ります。アーリーアダプターや顧客の反応を見て、どのように改善すれば新しいサービスや商品が市場で大きな反響を得ることが出来るのか慎重に考えていきます。彼らの実際の意見も取り入れつつ、顧客にサービスや製品が受け入れられるようにしていかなければなりません。また、アーリーアダプターや顧客の反応を見た段階で、構築時に立てた仮説が誤っていると判断される可能性もあります。その場合は、仮説自体を見直し、大きな方向転換を行う必要が出てくる可能性もあるのです。リーンスタートアップの工程における、この方向転換のことを、ピボットと呼びます。また、新たなサービス、商品の開発をこのまま続けていっても成功しないと決断をした場合、早期に撤退を出来る点が学習のメリットでもあります。
リーンスタートアップの手順4. 再構築
構築、計測、学習の3つが完了したら、再構築に入ります。計測と学習を経て、改善が必要な部分を実際に改善したり、方向転換をしたりするフェーズです。顧客にとって何が最良のサービス・商品なのか、徹底的にブラッシュアップ出来るまで、MVPに対する顧客の反応を確認しながら構築、計測、学習、再構築の4つのサイクルを繰り返していきます。このサイクルにより、新規ビジネスの成功率をあげていくことが可能となるのです。
このように、短期間で上記4つのサイクルを繰り返していくのがリーンスタートアップの手順です。よくビジネス用語として使われている、PDCAと似ている部分がありますよね。
リーンスタートアップと一緒に抑えるべきMVPとは?
さて、ここまでで既に何度か登場しているMVPですが、リーンスタートアップにおいて非常に重要な役割を担っています。MVPについて、更に詳しくご紹介します。前述した通り、MVPとはMinimum viable productの略語で、日本語では実用最小限の製品と呼ばれています。一見、MVPを作ることも、プロダクト開発と思われがちですが、MVPはプロダクト開発ではありません。あくまでもプロダクト開発を行う為のプロセスの1つであり、MVPは名前の通り本当に必要最小限の機能を実装したもので充分です。逆にMVPの段階であらゆる機能を盛り込むのはNGであり、それを行ってしまうとリーンスタートアップの良さである、出来るだけ無駄なコストかけずに顧客が本当に求めているサービスや商品を開発することが出来なくなってしまいます。
リーンスタートアップのメリット
では、リーンスタートアップに則った事業を行うメリットにはどんなものがあるのでしょうか。ここでは具体的に3つのメリットを紹介していきます。
1. コストや時間をかけずに計測可能
まずは、リーンスタートアップの1番のメリットでもありその名前にもなっている、コストや時間を出来る限り最小限に抑えられる部分、そして更にその中で計測まで行うことが出来る点です。まずはアーリーアダプターや顧客のフィードバックを前提としてMVPを作成する為、開発における費用や人件費、そして時間を大幅に削減することが出来ます。また、コストや時間を最小限に抑えて計測している分、失敗した際やピボットを行わなければならない場合のダメージも少なく済むのです。
2. 市場での優位性を獲得できる
2つ目のメリットは、市場での優位性を獲得出来る点です。無駄なコストをかけずに早期で新規サービスや商品をリリースし、顧客からのフィードバックを得るのがリーンスタートアップの特徴でした。これにより、顧客のフィードバックを早期に適用し、市場における先行利益を獲得することが出来るのです。アップデート、つまり再構築の度にフィードバックを受ける為、常に最新の顧客の意見を取り入れつつ、より良いかたちでサービスや製品を市場に出していくことが出来ます。結果的に、市場において競合他社よりも優位に立つことが可能となります。
3. 顧客の声を迅速にキャッチできる
最後のメリットは、2つ目と重なる部分はありますが、顧客の声を迅速にキャッチ出来る点です。早期段階でサービスや製品を市場に提示することで、最も重要な顧客の声をすばやくキャッチし続けることが出来ます。何度もご説明した通り、リーンスタートアップは構築から計測、学習、そして再構築というサイクルを繰り返すことで新規サービスや製品をブラッシュアップしていきます。つまり、このサイクルを行う度に顧客の声を拾い、サービスや製品に反映させることが可能なのです。常に迅速に顧客の声をキャッチすることは、サービスや製品を改善する為には重要な要素ですよね。
リーンスタートアップの事例を紹介
リーンスタートアップの具体的な手順がわかったところで、最後に、リーンスタートアップの事例をご紹介します。今回ご紹介するのは、Kdan Mobileです。「ビジネスに、創造性を」というスローガンを掲げ、モバイルに特化した様々なドキュメントやクリエイティブソリューションを提供しています。
そんなKdan Mobileでは、まさにリーンスタートアップモデルを採用しており、その結果2年間で100を超えるアプリをリリースしています。Kdanの主要投資家の1人である Darwin Venture Management のパートナーである リン・ケイコウ(林桂光)氏によると、Kdan Mobileは絶えず社会に適応し続けた結果、現在着実に成長していると言います。Kdan Mobileは、リーンスタートアップモデルに熱心に従事することで、2年間に渡る多数のアプリのリリースや、創業11年間で数回のビジネスモデルの変更も行ってきました。アプリのリリース速度が速いほど多くのユーザーを呼び込む機会も増えると確信し、スピード重視でアプリを市場投入することで、どのサービスがや製品がヒットするのか確認していったのです。その結果、SaaSモデルの導入で成功し、国際企業の間で支持を得ることが出来ました。
Kdan Mobileの働き方
Kdan Mobileでは、新型コロナウイルスの感染拡大前から「リモートワーク向け最先端ブランド」という目標を掲げ、テレワークを行う上で便利なツールの開発や導入を行っていました。そのため、テレワークの環境は整えられており、Web会議やオンライン制作などをスムーズに行っています。同社で提供しているサービスも、まさに普及しつつあるテレワークを円滑に進める為に最適なサービスばかりで、電子署名サービスやクラウドサービスなど、全国に社員が散らばっていても問題なく業務を行えるようにしてくれるサービスです。
◾︎ Kdan Mobile提供サービス事例
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リーンスタートアップ:まとめ
いかがでしたか?今回は、リーンスタートアップとは何なのか、リーンスタートアップの手順やメリット、そしてリーンスタートアップの事例を紹介しました。今後新たなサービスや製品をリリースしようと考えている方や、リーンスタートアップモデルを採用している企業に興味のある方は、是非参考にしてみてくださいね。