皆さんは、カスタマーセントリックという言葉をご存知でしょうか。なんとなく耳にしたことがある方、あまりピンと来ない方、どちらもいるのではないでしょうか。カスタマーセントリックは、日本語で表すと「顧客中心主義」です。顧客中心主義と聞くと、カスタマーセントリックという言葉よりは馴染みがあるかもしれません。実はカスタマーセントリックは、企業にとって非常に重要な運営方針であり、さまざまなメリットをもたらしてくれる戦略でもあります。
そこで本記事では、カスタマーセントリックとは具体的にどのようなものなのか、そしてカスタマーセントリックのメリットや、成功させるためのポイント、実際の事例紹介など、カスタマーセントリックについて詳しく解説していきます。
カスタマーセントリックとは?
カスタマーセントリックとは、先ほども記載した通り日本語で顧客中心主義のことで、事業を運営する上で、顧客を第一に考えて取り組むことを指しています。企業が何をしたいか、何を提供したいかを考えるのではなく、「顧客が本当に求めているものは何か」を考え、顧客のニーズや思考を第一に考える。それがカスタマーセントリックと呼ばれています。
カスタマーセントリックは、インターネットやSNSの普及により、消費者の価値観が変わりつつある中で生まれました。以前は、企業が提供したいものをつくり、多くの人に認知されれば売れる時代もありました。しかし、現在では、SNSやインターネットで調べればいくらでも類似商品が出てくる上に、他人の口コミや評価も簡単に確認することができます。そのため、商品の購入を検討している顧客は、大量に溢れる製品の中から多くの類似商品を比較検討し、本当に欲しいと思うものだけを購入することができるのです。時代と共に変わってきたこのような状況下で、顧客に自社の製品を手に取り購入してもらうためには、「顧客が何を求めているのか」を理解・分析し、顧客にとって価値のある製品を開発・販売する必要があります。顧客のニーズに合ったものを開発し、その価値を正しく顧客に伝える。そういった取り組みの根幹となるのが、カスタマーセントリックです。
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カスタマーセントリックのメリットとは?
では、カスタマーセントリックの思考で商品やサービスを開発すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。以下では、カスタマーセントリックによってもたらされるメリットを3つご紹介します。
・LTVが向上する
まず1つ目は、LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)の向上です。ライフタイムバリュー(以下LTV)とは、日本語では顧客生涯価値と表されます。一社、または一人の顧客が、特定の企業やブランドと取り引きを開始してから終了するまでの期間、つまり顧客ライフサイクル内に、どれだけの利益をもたらすのかを算出したものがLTVです。顧客との関係性を良好に保つことでLTVも向上すると言われており、ロイヤルティーの高い顧客ほど、顧客ライフサイクル内にもたらす利益が大きくなる可能性が高いです。LTVを向上させるためには、顧客1人あたりの獲得単価をあげること、そして企業からの解約/離脱率を下げることが重要になります。カスタマーセントリックに基づいた取り組みによって、現在の顧客がどんな製品を求めているのかを常に考え、それに沿ったものを開発、提供することが、顧客の離脱を防いだり、単価の向上に繋がり、結果的にLTVの向上にも繋がるのです。
・事業成長のスピードが上がる
そして続いてのメリットは、事業成長のスピードが上がることです。顧客を中心に考えることで、企業と顧客が共創できる関係性を築くことができるようになります。そうすると、顧客の提案を元にこれまで取り組んでいなかった取り組みを行なってみたり、解決できなかった問題を解決できるようになったりと新しい動きが出てきます。そして、新しい動きが出てくることで、これまでターゲット層ではなかった顧客も新規顧客として獲得できるチャンスが生まれるのです。顧客との共創関係を築き、製品の見直しやイノベーションを繰り返すことで、事業成長のスピードはぐんと上がります。
・コスト削減につながる
最後にご紹介するメリットは、コスト削減です。カスタマーセントリックに基づいて、顧客から得られる意見やフィードバック、提案などを元に製品を開発できるようになると、コスト削減にも繋がるのです。顧客と良好な関係性が築けていると、顧客から的確で正直なフィードバックをもらうことができます。逆に言えば、それができていないと的確なフィードバックをもらうことはなかなか難しくなります。的確なフィードバックがもらえることで、無駄に試行錯誤したり改善点がどこなのかを検討する時間を省くことが可能になり、商品開発の効率が圧倒的に良くなるのです。効率が良くなると、コスト削減にも繋がりますよね。
このように、カスタマーセントリックに基づいた取り組みは、企業にとって非常に多くのメリットをもたらしてくれます。
カスタマーセントリックを成功させるためのポイントをご紹介!
メリットをもたらしてくれるカスタマーセントリックを成功させるためには、いくつか心がけておきたいポイントがあります。そこで以下では、カスタマーセントリックを成功させるポイントをご紹介します。
・ユーザーリサーチを徹底する
まずは、ユーザーリサーチの徹底です。カスタマーセントリックにおいて最も重要になる部分と言っても過言ではないのが、ユーザーリサーチです。まずはユーザーのことを深く理解し、どんなニーズがあるのかを考えなければなりません。そのためには、ユーザーリサーチやVoC(Voice of Customer :顧客の声)を収集し、ユーザーに関する情報を集める必要があります。製品やサービスの利用状況やフィードバック、お問い合わせ内容やアンケート収集など、ユーザーリサーチを行う手段はさまざまです。できることを徹底的に行い、ユーザーの理解に努めることがポイントです。
・社内で情報を共有する
さらに、収集した情報は社内で共有しましょう。情報を収集するだけでは意味がなく、得られた情報を共有し、社内で一貫して顧客体験を提供する必要があるのです。社内での情報連携が不十分だと、せっかく顧客にもらったフィードバックを製品やサービスの一部にしか反映できていなかったり、問い合わせ対応で顧客に手間をかけてしまうなど、カスタマーセントリックからは遠ざかった対応をし兼ねません。そのため、社内では情報を共有すること、また情報を共有できる体制やシステムを整えることも重要になります。
・データをもとにパーソナライズされたアプローチを実施する
情報を収集し、社内で共有した後は、データに基づき、パーソナライズされたアプローチを実践することも重要です。顧客のニーズは人それぞれで、画一的ではありません。そのため、一気にすべての顧客のニーズに応えたり、課題点を解決することは当然難しいです。しかし、逆に顧客それぞれに合った対応を行うことで、顧客のロイヤルティや満足度は一気に上昇します。フィードバックを行なった顧客にとって、自分のフィードバックを活用して商品やサービスが改善されていると、「意見を反映してもらえている」「しっかりと目を通している」という印象になり、次回もフィードバックを送るモチベーションにも繋がります。そのため、収集した情報を分析し、パーソナライズしたアプローチを実施することで、効果的にカスタマーセントリックな取り組みを行うことができます。
カスタマーセントリックを実施する企業「Kdan Mobile」の事例を紹介!
ここまで、カスタマーセントリックについてご紹介してきました。最後に、実際にカスタマーセントリックを実施している企業「Kdan Mobile」をご紹介します。
Kdan Mobileは、台湾発祥のSaaS企業で、モバイルに特化したドキュメントソリューションとクリエイティブソリューションを提供しています。提供中のサービスはすでに多くの企業で採用されており、世界で2億ダウンロード、延べ1,000万人以上のユーザーを抱えています。電子署名アプリや、ドキュメント管理アプリ、クリエイティブ制作アプリなど、多くのサービスを提供しており、そのどれもがモバイルでも作業が進められるようになっています。リモートワークが普及している現代において、注目を集めている企業です。
そんなKdan Mobileでは、カスタマーセントリックを実施しています。具体的には、満足度調査の実際、顧客の声を聞き、コミュニケーションを取るなど、さまざまな取り組みを行なっています。例えば満足度調査では、サービスを実際に利用してくれた顧客に対してアンケートを実施し、よく使う機能や今後欲しい機能、改善点などを回答できるようにしています。これらの結果を元に、新機能の開発や新しいサービスの開発を行なっているのです。
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カスタマーセントリック:まとめ
いかがでしたか?本記事では、カスタマーセントリックについて詳しくご紹介しました。今後、すべてのサービスや製品において重要になるであろうカスタマーセントリックという思考。カスタマーセントリックによって生まれる新しい製品やサービスに期待が高まります。