皆さんは、OKRという言葉をご存知でしょうか。OKRとは、ここ数年で注目を集めている目標管理フレームワークの1つです。言葉を耳にしたことはあるけれど、OKRと聞いて実際にどのような手法なのか、具体的にその詳細を知らない方もまだまだいるかもしれません。しかし、OKRとは名だたる大企業も積極的に取り入れており、企業にとって成功の秘訣になり得る手法です。まさに、知っておいて損はないフレームワークなのです。
そこで本記事では、OKRとは一体何なのか、そしてOKRを導入する手順や運用上の注意点、実際に導入している企業など、OKRについてさまざまな観点からご紹介していきます。
OKRとは?
そもそもOKRとは、Objectives and Key Resultsの略称で、冒頭で述べた通り、目標管理フレームワークの1つです。Objectivesとは日本語で「目標」、Key Resultsが「主要な成果」を表します。OKRでは、企業としてなりたい姿を目標として設定し、その目標管理を通して組織全体で目標を達成、成果をあげる取り組みをします。
元々、米国のインテル社で導入された手法で、その後GoogleやFacebookなどシリコンバレーの有名な企業が取り入れたことで注目が集まりました。特に Googleでは、創業1年目からOKRを取り入れたことで大企業へと躍進を遂げ、今現在でも20年間以上OKRを実践し続けているのです。日本国内でも、メルカリやfreee、花王など、ほとんどの人がその名を知る企業が多く取り入れています。
OKRでは、ストレッチゴールと呼ばれる、大胆な目標設定を設定します。成功率が50%程度で、絶対に達成可能なゴールや、逆に絶対に達成不可能なゴールは設定しません。そこで設定した目標を、いかにして達成するかを考え、組織として可能にしていくための取り組みを行なっていく動きをします。
以下では実際にOKRを導入する手順を具体的にご紹介します。
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OKRを導入する手順をご紹介!
OKRを導入する手順は、細かく分けることもできますが、本記事では大きく分けて3段階でご紹介していきます。
・達成目標(Objectives)を設定する
まず最初のステップは、達成目標(Objectives)の設定です。企業や組織全体の目標を設定する必要があり、基本的には1つの企業に対して1つの目標となります。しかし、1つの企業で複数の事業を行なっている場合は、事業ごとに設定することももちろんあります。
達成目標は、先ほど記載した通り、成功の可能性が50%程度のものを設定します。また、OKRにおける達成目標は「定性的」なものであり、具体的な数字や指標などは含まないようにしなければなりません。達成目標は、シンプルで覚えやすいものを設定すると良いでしょう。達成目標によってチームが鼓舞され、モチベーションが上がってチャレンジングな動きができるようなものが良いとされています。
・主要な成果(Key Results)を設定する
企業や組織内で達成目標が設定できた後は、主要な成果(Key Results)を設定します。成果を設定するというと、違和感を感じる方もいるかもしれませんが、OKRにおける成果とは、達成目標に対しての進捗を図るための指標として機能します。そのため、主要な成果は「定量的」である必要があります。数値で測れる指標などが良いでしょう。また、主要成果の数が2〜5つの間で、これらの指標に対して60〜70%を達成していれば成功と見なします。主要成果を設定する際は、同時に自信度も設定する必要があります。これが前述した通り達成の可能性(自信度)が50%程度になるように設定するものになります。
・進捗確認、レビューを行い、次期のOKRを設定する
最終ゴールである達成目標と、進捗を図るための主要成果の設定が完了したら、あとはそれらに向けて期間内に達成するための取り組みや組織づくりを行います。最初に設定した達成目標と、主要成果の数値を定期的に見比べながら、現在の進捗状況を逐一確認することが重要です。そして設定した期間が終了する際に、結果とOKRのレビューを行います。目標には達しているのか、成功といえるのか、またそこに至るまでの経緯や取り組みなどのよかった点・悪かった点などを細かくレビューしていきます。そして、レビューが終わったら、時期のOKRを設定します。定期的に見直しを行わないと、ただ設定した目標に動いていてそれが正解なのか、または改善した方が良いのかなど、目標や効果、行動の適切さがわかりません。そのため、OKRにとってレビューは非常に重要なパートです。
ざっくり分けるとこの繰り返しで、企業全体として設定した目標に向けて成長をしていくのが、OKRを取り入れた場合の企業の動きとなります。
OKRを運用する上で押さえておくべきポイントをご紹介
ここまで記載した通り、すでに多くの成功した企業でも取り入れられており、上手に活用できれば企業の大成長への第一歩となる可能性を秘めているOKR。しかし、ただとりあえず導入するだけでは効果を引き出せるとは限りません。そこで、以下ではOKRを運用をする上でおさえておくべきポイントを3つご紹介します。
・進捗を定量的に確認すること
まず1つ目は、進捗の確認方法です。設定する目標は定性的ですが、目標に対しての進捗度合いは必ず定量的に確認する必要があります。実際に数値目標を活用して、どのくらい目標と乖離しているのか、またどのくらい超えているのかなどを明確にしなければ、OKRを設定しても運用はうまくいきません。進捗を定量的に確認することで、目標設定が適切なのか、または今度どのように動くべきなのかなど、業務をより具体的に進めることができるようになります。
・課題・達成阻害要因を都度分析すること
そして2点目のポイントは、課題・達成阻害要因の分析です。先ほどの進捗確認と関連するはありますが、確認した上で何が目標達成をするために課題となっているかを把握することが非常に重要です。達成を阻害する要因や課題を分析し、明確にすることで、達成をするために何をしなければいけないのか、何をやめなければいけないのかなど、改善点が浮き彫りになります。このステップをおざなりにしてしまうと、達成への確度や速度共に落ちてしまうため、重点的に行うと良いでしょう。
・評価測定を迅速に行うこと
そして最後は、評価測定を迅速に行うことです。OKRは、1ヶ月から4半期程度の短期間で行うことが良いとされています。そのため、その分評価や測定も迅速に行わなければなりません。評価測定に1ヶ月など長い時間をかけてしまうと効率が悪くなりOKRの効果を発揮することが難しくなってしまいます。OKRを運用する際は、評価測定を迅速に行うことを心がけましょう。またそのためにも、1つ目に記載した定量的な進捗が必要となります。定量的に可視化することで無駄な時間を省き、素早く判断を行うことができます。
実際にOKRを導入している企業をご紹介
ここまで、OKRについて、その概要や導入手順、そして導入にあたっておさえておくべきポイントなどをご紹介しました。最後に、実際にOKRを導入している企業「Kdan Mobile」についてご紹介します。
「Kdan Mobile」とは?
Kdan Mobileは、台湾発のSaaS企業です。ユーザの生産性・創造性の向上を目的としたドキュメントソリューションとクリエイティブソリューションを提供しており、すでにツールの総ダウンロード数は世界で2億以上、ユーザー数は延べ1,000万人以上と今注目の企業の1つです。コロナ前から積極的にリモートワークやハイブリットワークを取り入れていた先進的な企業でもあり、現在では多くの企業のリモートワークへの移行への支援も行っています。
今回ご紹介したOKRもすでに導入しており、定期的なミーティングを設けてクオーターの振り返りや事業戦略の確認、目標達成へのアクションや次期に向けての話し合いを実施しています。OKRの会議の様子は、同社のSNSにもアップされています。
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まとめ
いかがでしたか?今回は、OKRの概要や導入手順、導入にあたっておさえておくべきポイント、そして最後に実際に導入しているKdan Mobileについてご紹介しました。まだOKRを導入していない企業や組織は、企業の成長戦略として、ぜひOKRの導入を検討してみてはいかがでしょうか。